吊り下げ式置き配バッグによる環境対策ソリューション
“再配達”は宅配事業者にとって業務時間増となるほか、燃料消費量とCO2排出量の増加を加速させる。八王子市は脱炭素に向けた取り組みの一環として、置き配専用の吊り下げ式バッグ1万個を、市民に抽選で配布した。
※下記はジチタイワークスVol.32(2024年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]株式会社JPメディアダイレクト
再配達の削減支援などを通じて“脱炭素型ライフスタイル”を目指す。
EC(電子商取引)市場の急拡大に伴い、宅配事業者の取り扱い荷物数、再配達件数が急増している。令和2年度の国土交通省の推計では、再配達によるCO2排出量は年間でおよそ25.4万t※2にのぼるという。脱炭素化に取り組む中で、早急に改善すべき課題の一つといえる。
令和4年にゼロカーボンシティ宣言を行った同市も、再配達削減を掲げている。「ゼロカーボンを実現するには、生活の中で無理なく“脱炭素型ライフスタイル”へ転換していくことが大事です」と、堂本さんは強調する。同年に実施した世論調査では、9割強の市民が“環境に配慮した暮らしをしている”と回答したそう。そうした意識をさらに高め、ライフスタイルの見直しを促進するために着目したのが、置き配用製品を活用した再配達削減支援だった。「市民は一度で荷物を受け取れるほか、宅配車両の移動量削減による脱炭素化、ドライバーの時間外労働抑制にもつながるはずです」。
当初は置き配“ボックス”を検討していたが、マンションなど集合住宅の場合、共用部にボックスを配置するのは避難経路確保の面でも問題がある。適切な製品を探す中、日本郵政グループからの提案や近隣自治体の先行事例を通じて、置き配専用バッグ「OKIPPA(以下、オキッパ)」に注目。同製品1万個を抽選で市民に配布する施策を決定した。
※1 国土交通省「平成27年9月 宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会報告書」を基にJPメディアダイレクトが算出
※2 国土交通省ホームページ「宅配便の再配達削減に向けて」より
幅広い年齢層を対象に告知した結果、配布予定数の約1.5倍の応募があった。
オキッパは、コンパクトに折り畳んだ状態でドアノブに吊り下げられ、広げれば57Lの容量が確保できる特許取得製品。令和5年7月に入札を実施し、日本郵政グループの「JPメディアダイレクト」とオキッパを販売する「Yper(イーパー)」が共同で事業展開している“環境対策ソリューション”を採択することが決まったという。
契約後、同社は市の意向を踏まえて、バッグのオリジナルデザインを制作。並行して、応募用のWEBページ制作をはじめ、駅や図書館などにポスターや応募チラシを掲示したほか、大学への広報も行った。また、日本郵政グループの一員である同社の強みを活かし、市内の全郵便局にもポスターとチラシを配置し、幅広い年齢層に周知した。
さらに、同市の「はちエコポイント事業」への参加も応募条件に加えることに。これは、家庭での省エネチャレンジなどをポイント化し、エコ商品と交換できる事業だ。「一人ひとりの地道な取り組みですが、会員が増えることで環境に配慮した行動が波及することを期待しています」。募集の結果、配布予定数を大きく超える1万5,000件ほどの応募があったという。
置き配バッグの事業が市民の行動変容につながる。
同社が行ったアンケート調査から、オキッパ配布前後での再配達削減回数は1万3,789回となっていることが分かったそうだ。計算すると6,462kg相当のCO2排出が抑制できたことになる。「約28万世帯の当市で、1万世帯分のバッグ配布は小さな取り組みです。しかし、当市全体で2週間に1回、置き配バッグで荷物を受け取ることができると、1年間の累計CO2削減量は約122tに達すると試算しています。今回の取り組みが原動力となり、再配達削減などの環境配慮行動につながっていくことを願っています」。
実際、市民から「バッグが当たってうれしい。再配達削減に向けて頑張りたい」「高齢なので、チャイムが鳴ってもすぐに玄関まで行けなかった。再配達を依頼しないで済むので助かっている」などの声が届いており、一定の成果を感じているという。
「ゼロカーボンを目指す上で、市民や民間事業者の環境配慮行動は非常に重要です。取り組みを進めてもらうためには、まず市が率先して行動することが大事です」と堂本さん。今後も、普及啓発の取り組みを続けていき、市民や事業者と問題を共有しながら、これまで以上に丁寧な支援を行う構えだ。
脱炭素社会を目指すワンストップ型の環境対策ソリューション
1.“環境対策ソリューション”としてワンストップで提供
オリジナルデザインのバッグ制作から募集告知、コールセンターなどの受付業務および配送、利用した住民へのアンケート集計までをワンストップで実施。再配達削減を通じた環境対策ソリューションとして提供する。
▲家庭用ポストに入るサイズの箱にオリジナルデザインを施し、バッグ本体と専用ロックなどの一式をゆうパケットで配達した。
2.WEBをはじめSNSやポスターなど複数手段で募集を告知
専用のWEBページやSNSを通じた告知と同時に、広報ポスターや申し込み用のチラシなども制作して市内の全ての郵便局に配置。八王子市内の市民センターや図書館などの施設の協力も得て、市民への周知を強化した。
3.施策実施前・後のアンケートで市民の反応を可視化
配布事業への応募時と利用後の2段階で、住民アンケートを実施。オキッパ活用による生活の利便性向上などの感想や、再配達を防いだことによる環境負荷軽減想定などを集計し、事業成果を可視化した。
導入実績
オキッパは、愛知県一宮市、大分県、山形県、福島県などの自治体で導入実績があるという。同市が参考にした神奈川県相模原市では、令和3 年に環境対策ソリューション事業を実施し、多くの反響があったそうだ。
ジチタイワークスvol.16 相模原市事例はこちら
お問い合わせ
サービス提供元企業:株式会社JPメディアダイレクト
営業推進本部 公共ソリューション担当
TEL:03-5157-6073
E-mail:public-koho@jp-md.co.jp
東京都港区虎ノ門1-21-17
虎ノ門NNビル5F
お問い合わせ・詳細はこちら